2013年11月25日月曜日

双頭の船を読みました。

双頭の船 (池澤夏樹、2013.2発行)を読みました。

このところ、読書記録として感想を書こうと思いながら、ついさぼっていましたので、久しぶりの投稿です。

マンションの上階の住人が本州に熊を返すのに付き合うことになった千鶴の話から始まり、決断が必要なところでは考えがフリーズしてしまいがちな優柔不断な主人公の海津知洋が、流されるままに、放置自転車を修理して被災地に配る双頭の小型フェリーのボランティア船で修理工として参加。やがて、その船はいろいろな役割を果たすようになり、人も増え、ひとつの町のようになっていく。

震災により失った物事や人に対する、忘れてはいけないという気持ちと、乗り越えていこうとする思いなども絡めた作品です。

船上に仮設住宅ができ、人が集まることで町のようになり、生活の場ができて行く様子は、復興のひとつの形のようでいて、あくまでも仮の浮いた根の張らない状態で、現状の復興がうまく進まない状態ともつながるような感じがしました。

私もエレベータが使えなかったり、計画停電の影響や、1週間ほどはガソリン不足で車に乗れなかったり、スーパーで帰るものが限られたりといった不便は合ったものの、身近で大きな被害にあった人もなく、現地で被害を受けた人の気持ちは想像するだけで、実際のところはわからず、どういったらいいのかもわかりません。

無責任で他人事のようになってしまうけど、すこしでも多くの人が、より幸せにいきていければと願います。