2013年7月16日火曜日

静かな爆弾を読みました。

静かな爆弾 (吉田修一 著、2008.2発行)を読みました。

何か小説を読もうと思って図書館で手にとったのがこの本。特に吉田修一の作品に決めていたわけではなかったのだけど、2ヶ月ほど前にも、この作家の本を読んでいました。

サブの仕事でもあるタリバンの大仏爆破のようなドキュメンタリー番組作りのためのインタビューや情報収集に忙しい主人公が、公園で出会った耳の不自由な響子と付き合う過程や、仕事のなかでなんとなく感じる見えている世界の違いのような、なんか引っかかるような思いが感じられる作品でした。

言葉が通じないことにより起きるふとした思いがけない状況や、言葉にしてしまうところを飲み込むことで生じる微妙な距離感というか空白感。武装国家?が、なぜ世界的な遺産を爆発することになってしまったかなどもからめて、いろいろと、判らないことや漠然とした不安感を感じながら、そんなひどいことにならないと根拠なく思ってしまいながら、すれ違いや、思わぬことになってしまう様子。
相手を傷つけないように注意している言葉が、結局その気遣いを含めた状況が傷をつけてしまう場合など、人それぞれ状況によって考えや物事の受け取り方が異なるのに、つい同じように思ったり勝手にこうではないかと推測してしまっていて、それが正しいとは限らないのに正しいと思ってしまうような、だれも悪くはないのだけど、結果として、なんか気まずくなることがあったりする、人間関係にある微妙な距離感を改めて考えました。

   

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