2009年9月5日土曜日

音楽は自由にする を読んだ。

特に理由これといった理由はないのですが、前回まで月に何回かは観に行った展覧会などの感想と何冊かの読んだ本の感想を書いていたのに、今回は、4ヶ月以上という間隔が空いてしまい、久しぶりのブログ書きです。

坂本龍一著、音楽は自由にする(2009.2発行)を読みました。

内容は、雑誌「エンジン」の企画に基づいていて、編集長によるインタビューで坂本龍一が自ら人生を振り返った、2年以上にわたる27回の連載をまとめたものです。
幼稚園の頃から始まり、育った環境やその頃の様子、さらに、現在につながる出来事や最近のことまで、順を追って書かれています。
人との関わりや出来事への関心などについて、実際には気難しそうな人のようなので、いろいろもめたこともあっただろうと思われるようなことも、淡々と書かれていて、最後には年表まで載せてある坂本龍一の自分史です。
音楽のバックボーンをしっかりと身に付ける一方、ポップの領域でも活躍し、最近では環境関連の活動など多方面で活躍するアーティストの自分史として、そういうものに興味ある人には面白い本なのではないかと思いました。

全体としては、自伝なので、淡々と様々な記憶に残っている出来事が書かれていて、特に訴えかけてきたり、いろいろと考えることを促すようなも感じではない本だと思いますが、
坂本龍一の活動や交友範囲が広がっていく80年代の部分は、その時代のアーティストや文化人との関わりで出てくる人に、私もよく読んだ思想家や作家が出てきて、20世紀の芸術運動ともいえる芸術自身や概念に対する見直しなどといった興味のある部分が重なって、そのような分野の人と関わることは私にはなかったので、うらやましい気もしました。
また、後半では、ニューヨークで9.11テロに遭遇した時のことなどは、かなり極端な印象を受ける部分もありましたが、恐怖がまさに身近におそい、その後もどうなるかわからないといった緊迫感に包まれたときの人の状況について書かれていて、出来事が人に感情や考えに与える影響について、ニュースなどで見聞きしたときのものとは別の見方というか感覚が伝わってくる感じがしました。

坂本龍一はこんな自分史を出すようなことはしたがらないように思っていたので、最初に、あまり気が進まないと書いてありましたが、57才という年齢にもなって、丸くなったように思いました。

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