2009年4月11日土曜日

人間科学を読んだ。

養老孟司著、人間科学(2002.4発行)を読んだ。

養老氏の本は、バカの壁などが有名だけど、それよりも少し前に発行された本。
引き続き、脳関係に興味があるので、養老氏の本を図書館で探していて目に付いたので読むことにした。

内容は、1章の「人間科学とはなにか」に始まり、ヒトの情報世界、差異と同一性、都市とはなにか、人とはなにか、シンボルと共通了解、自己と排除、男と女、といった、ヒトとはなにかを情報系として捕らえつつ、脳の特性や進化や発生の過程などを踏まえて、養老氏の見解として、途中補足のような文章を交えながら述べられている。

人が知っていることというのは、自分の脳のなかにある「なにか」だけで、情報系としてヒトを見ると、細胞というシステムが遺伝子という情報を利用するように、脳がシステムとして情報である言葉などを利用し、ヒトは単なる物質とエネルギーの塊ではなく、この2種類の情報系がヒトをなしていること。
情報は固定されたもので、それを使うシステムは変化するものであり、都市化はすべてのものを情報として固定化していく社会で、自然はもともと絶えず変化するものであるから都市において排除されること。
言葉はコミュニケーションをとるために、聴覚と視覚の両方に共通する要素を抽出し、外界のものに共通了解性をもたせ、情報として固定したもの。
というようなことが考えの中心にあるようで、固定と変化、同一性と差異、言語というシンボルが強要する共通了解性とクオリア性、といったことについての養老氏の見方が述べられていて、以前読んだ本にも同様のことが語られていて漠然と把握していたこともあって、言語や意識に対する私なりの漠然とした考えと近い感じがして、文章中に注釈のように入れられた補足説明をしたくなる感じがわかるような気がして面白かった。

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