2009年1月12日月曜日

レオナール・フジタ展

年末年始とブログの更新を怠っていたので、昨年のことになってしまったけど、12/30に、上野の森美術館で行われている、「レオナール・フジタ展」(上野での会期は1/15まで、この後福岡と仙台を巡回)を観てきた。

展示構成は、4つに区分され、建物の1階部分でに第1章として、1910年代後半のフランスに渡った頃の初期の作品からスタイルを確立した20年代後半頃までの人物画や風景などが、
第2章として、今回のメインともいえる大作、「ライオンのいる構図」「犬のいる構図」「争闘I」「争闘II]の連作2つと関連する習作、人物や動物に構図の共通性がみられるパリの建物内の壁画に使われていたものや、未完の作品「馬とライオン」など、大作に関連した作品が展示があり、他に猫や動物の絵も展示されていた。
続く建物の2階からが第3章として、晩年をすごしたアトリエを中心に、フレスコ画をはじめとしたいくつかの作品に加えて、アトリエの様子が再現されていたり、パレットや筆などから、アトリエで使用された箱や皿などの雑貨を自分で作ったり装飾したものなども展示されていた。最後の4章では、洗礼を受けキリスト教徒にまでなった、レオナールフジタの宗教画を中心に、普段はギャラリーとして使用している隣?の建物には、フレスコ画からステンドグラスや細部の装飾まで自分で手がけた平和の聖母礼拝堂の模型や、ステンドグラス、壁画やそのための習作などが、展示されていた。

フランスに渡って数年後の初期の人物像は、輪郭線がはっきりした装飾的というか面的な作風だし、風景は色調の抑えられた、さびしくて憂鬱な感じで、中にはムンクの絵のような空や地面が揺らいでいるような感じの絵もあり、藤田嗣治としても、レオナールフジタとしても、まとまった展覧会を観たのは初めてだったので、初期はこのような絵を描いていたことを始めて知った。
もっとも、その数年後には、細い描線と乳白色の宇宙人のような顔をした作品を描いていて、大作を描いた20年代後半につながる作風が見られ、晩年の本の挿絵のような感じの、カラフルな幻想的な細密画(個人的な印象)まで続く、細い線と白っぽい印象の独特の画風の作品がほとんどのようだけど。

個人的には、晩年のものよりも、人物や猫などの代表的な作品も展示されていた、20年代後半から40年代頃の人物や動物の絵がいいように思った。晩年の作品は、細かく書き込まれる一方で肌などは滑らかに塗られ、シュールレアリストっぽい感じもして、面白いのだけど、絵としての見ごたえというか、ひきつけられるような独特の感じというのが弱いように感じた。それと、どことなく不気味で幻想的な感じの人物像はフィニーの絵を思い起こすような感じがした。
最も、今回、いろいろな作風が展示されているものの、他にもいろいろな絵があるだろうから、なんともいえないが・・・

この美術館はそれほど広くはないものの、空間を有効に使って展示されていて、隣のギャラリーも今回は会場の一部となっており、初期の作品から、今回の目玉とも言える、争闘や構図といった大作と関連した習作などや、晩年すごしたアトリエの様子、フレスコ画から装飾まで手がけた、聖母礼拝堂の様子などが模型や、再現したものを含めて展示され、興味深い構成となっていたのに加え、初期から晩年のさまざまな作風の作品が見られて良い展覧会だった。

最も、今回の展示は、宣伝用のチラシやWebページからは、初公開を含む2大連作を目玉に、資料や関連する作品の展示がされているようだったが、他に作品の紹介があまりされていなかったので、資料や習作が多いだろうと思い、大作以外の完成した良品を見ることをそれほど期待していなかった分、いい印象を持ったところもあるかもしれない。

今回、ブログに感想を整理するのが観に行ってから10日ほど経ってしまって、見た直後に比べると、だいぶ印象が薄れてまった感じがした。図録を買っていたので、観ていると、いろんなことを思い出せたけど、最近はすぐに印象が薄れてしまいがちて、細かいことはすぐに思い浮かんでこなくなる。
記憶だけを頼りにしているので、Webをみて思い出しながら書いたものの、整理するならやはり早めにするようにしようと思った。

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