2009年3月6日金曜日

マーク・ロスコ展を観てきた。

川村記念美術館で、6/7まで行われている「マーク・ロスコ 瞑想する絵画」展を観てきた。
マーク・ロスコは好きな作家で、川村記念美術館は昨年増改築して広くなり、ロスコの絵画を飾るロスコルームなどもあって、一度行って見ようと思いながら、少し遠いので行く機会がなかったけど、今回マーク・ロスコの展覧会とういことで、見逃せないと思い行ってきた。

今回の展覧会は、ヨーロッパでロスコルームを持つ、テート・モダンとの共同企画で、両者とナショナル・ギャラリーにあるものを含めて、シーグラム壁画と呼ばれる大型の連作30点中15点が展示されるのが目玉。
展示構成としては、展示室に入るとすぐに「赤の中の黒」という、ロスコらしい、もやもやした色調のオレンジというか茶色がかったような赤い中に、境界がにじんだような感じの黒い四角が上半分に、下側には背景と同系色で少し濃い目の四角がぼんやりと浮き上がるといった感じの作品が設置され、次の部屋はテート・モダンに絵を渡す際のやりとりの書簡やシーグラム壁画に関連した作品、シーグラム壁画を設置する際の配置を検討したらしい模型などがあった。
続く部屋が、シーグラム壁画の展示室となっていて、通常目にする展示とは異なり、見上げるような比較的高めの位置に壁面を埋めるような感じで隙間は少なめで並べられていて、四方の壁全体が作品のような感じだった。
他に、晩年の作品で濃紺というか黒っぽい中に黒という感じの作品4点からなる部屋と数点の展示といった展示構成。

入り口を入ったところに抑え目の照明のなか「赤の中の黒」があり、展示室に入ったらそこはロスコの世界、シーグラム壁画への前段階といった感じの2室目があって、シーグラム壁画たちによるロスコ空間といった感じで、こういった絵の好きの私としては、とても満足できた。

目玉のシーグラム壁画は、天井も高く空間の広い展示室の壁を埋めるように15点の作品が配置され、独特の空間が生み出された感じだった。
配置も普通にひとつひとつが一定の間隔で展示されるのと異なり、高めの位置に隙間が少なく並べて配置されていて、頭上の高いところから絵のほうが見下ろしているというか、壁一面の窓から光が差すように、絵が降ってくるような、なんというか崇高な感じのする空間だと思った。

シーグラム壁画は、赤褐色というか濃い赤紫色を基調にした作品が中心で、同系色や少し青みがかった色やオレンジ色で境界のはっきりしない四角や四角い枠がかかれた、なんともいえない作品たち。単品でも大型で迫力のある作品が、壁全体を覆うような窓といった感じで飾られ、この空間を体験するのに佐倉まできた甲斐があった。

書簡から、マークロスコは、自分の作品が他の作家の作品と並ぶことなく、また常設展示されれることを強く望んでいたようで、このような展示空間ができることを望んでいたのではないかと思えるような空間となっているように思う。

晩年のほとんど黒といった感じの藍色というか濃紺のものは、全面が黒っぽく見えるものの良く見ると微妙に内側の四角が浮かび上がってくるような感じのもの。全体が黒っぽい作品は初めてみたけど、こちらも小部屋3面に4枚の黒っぽいものが配置され、ホワイトキューブの展示室に置かれていることもあって、存在感がすごく、中央にはベンチが置かれていたので、のんびりと鑑賞させてもらった。

画面が大きいこともあって、作品点数自体はそれほど多くはないことと、晩年の作品が中心で鈍い赤紫から茶色やオレンジ、赤、黒、濃紺といった色あいのものが中心で、マーク・ロスコの本などの表紙を飾っているような黄色や緑などカラフルなのものはないものの、ロスコの作品をこれだけまとめて見られる機会はなかなかなく、素晴らしかった。ロスコの作品が好きな人には見逃せない展示だと思う。

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