2009年3月25日水曜日

アジアとヨーロッパの肖像 展を観てきた。

神奈川県立近代美術館葉山館で、3/29まで行われている、「SELF and OTHER アジアとヨーロッパの肖像」を観てきた。

アジアとヨーロッパの出会いを背景に、広い意味での肖像、すなわち人物表現を伴う絵画、彫刻、工芸、写真などにおける自己像と他者像の展開を辿ります。神奈川県立歴史博物館との同時開催。(Webより)

展示構成は、
1章:それぞれの肖像、2章:接触以前-想像された他者、3章:接触以降-自己の手法で描く、第4章:近代の目-他者の手法を取り入れる、5章:現代における自己と他者
の5章構成。

王族など権力者の権威を示す肖像画から、異人や蛮人として異国の人物を想像で書いているものから、現代アートに見られる肖像までを、絵画だけでなく、彫刻、象嵌の根付や陶磁器、バティック、インドネシアの影絵人形、写真やビデオアートまで、人間の関心の対象あるいは表象として作られた様々な肖像作品をみることができる展示。

王族などの肖像画は、所持品が威厳や特徴を示していたり、想像の異人や、いろいろな技法による表現、写真が発明されて以降の肖像としての意味や、肖像とレッテルなどと本質の差や意味を問うような現代アートなど、肖像画の様々な背景や特徴をみることができる展覧会だと思った。

異国の人物としての偏見や互いの見方の違いなども、詳細に見ればわかるのかも知れないし、そのような差異を改めて知ろうというのも展覧会の意図のようにも思うが、その点については、ロートレックやミュシャなど確かに異なる文化での相互の影響を感じられるものもあったが、全体として知見を新たにするほどにはわからなかった。

ただ、普段あまり見かけない、東南アジアの作家の作品があり、写真のように非常に緻密に書かれたものが多く、西洋のほうが遠近法などを駆使し写実的な絵画を指向している感じはするが、そのような写実的表現技術がアジアにくると、非常に緻密な作品となり、よりリアルな作品を作り出しているような気がする。最も単に写実的な表現になってしまって、写真に駆逐されてしまうようなところもあるような気もした。

想像の異人には、腕長族ともいうような腕の長い人種をはじめ、小さい人種、足の長い人種など、実際にありそうなものから、腹に穴が開いていて、その穴に棒を通して運ばれる人種や、頭が無い人種、足が1本の人種などといった、奇妙な想像上の人種が異国に居ると思われていたことを知った。

個人的には、近代から現代アートよりに関心があるので、5章での、ビュッフェの作品や、草間彌生の自画像は初めて見たものだと思うし、ウォーホールのマリリンにボルタンスキーのモニュメントや、トーマス・ルフ、ジュリアン・オピー、といった作家の作品や、舟越桂の作品が見られたのは良かった。

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