2008年12月12日金曜日

近代美術館に行ってきた。

国立近代美術館に、展覧会を観に行ってきた。

今回は、展覧会を見逃さないように出かけたというより、何か観に行こうと思っていて、近代美術館で行っている展覧会は見てなかったので、所蔵作品もいいものが多いから、前回のときとは展示も入れ替わっているだろうと思い観に行ってきた。

行われている展覧会は、企画展「沖縄・プリズム 1872-2008」、所蔵作品展「近代日本の美術」で、2Fでは「小松誠 デザイン+ユーモア」展を行っていた。

企画展は、琉球王朝として独自の文化を持つ沖縄、今回は沖縄の独特な文化というよりは、1872年に琉球藩設置によって、日本に編入されて以降の近代のうねりのなかで、この地に誕生し、生成しつつある造形芸術を検証する試みだそうで、沖縄出身の作家と本土から沖縄に向かった作家を織り交ぜ、内側の視点と外からの視点の違いを意識しつつ、様々なジャンルの作家の「沖縄」の作品により、沖縄という場所の意味と潜在力を問い、発信される未来の創造活動へのつなげることを目指しているそうです。

展示構成は3つに分かれていて、

第1章 異国趣味(エキゾティシズム)と郷愁(ノスタルジア) 1872-1945
 日本の版図に入ってからの沖縄がどのように見られ表現されたかを見せるもの
第2章 第2章 「同化」と「異化」のはざま 1945-1975
壊滅的な被害を受けたあと、米軍統治したでの軍事基地化、それに対する抵抗と復帰運動などを経て、日本復帰と沖縄博に象徴される本土資本流入など新たな日本化の仮定で、再度の日本への同化を異質性のもとに捉えなおすようなもの。
第3章 「沖縄」の喚起力
歴史・社会的な文脈ではなく、沖縄という場所の意味や可能性を、時間・空間的な枠組みを取り払って、より開放的な、多様な視点を織り交ぜたもの。

となっていて、
近代以降現在に至る歴史の上で、米国の支配下にあったり、本土復帰後も、軍事基地問題が続いていたり、いろいろな文化が否応なく入ってくることによって、互いを異質なものとした衝突は当然大きいのだと思うし、そういう衝突から新たな価値観や感覚の芸術は生まれてくるので、単に独自の文化を紹介するのではない視点はいいと思った。

ただ、個人的には、歴史自体にはあまり興味がなくて、絵画でもそうだけど物語性とかより、そこに描かれた形や色などに感動しがちなので、書籍や雑誌などの社会的あるいは文化的資料のような展示はあまり興味を持てなかったし、様々なジャンルを見られるのはよいけど、写真や映像作品が単なる記録ではなく、芸術作品としてどの程度すばらしいのかが良くわからず(木村伊兵衛の写真などもあるので、見る人がみればわかるのだろうけど)、沖縄に関連したものが集まっているという点では、流れがあるものの、企画展をみているというより、どこかの美術展を観に行ったときのような、ここのつながりのわかりにくい展覧会に思えた。

作品的には、鳥海青児、藤田嗣治、岡本太郎、木村伊兵衛、東松照明といった有名作家の作品もあったけど、個人的に良いと思ったのは、

与那覇大智の作品。

与那覇大智の作品は大画面に赤紫から青っぽい感じの光の大きなうねりというか波のような感じの作品で、抽象表現主義的な大画面に色がうごめく感じだけど、なかなか良い感じだった。

安谷屋正義の塔や、陶器の作品で、國吉清尚の華器や世紀末の卵
圓井義典の地面を拡大撮影して、緯度と経度がサブタイトルになっているものとか、
山城知佳子のビデオと写真?からなる作品も、ビデオで延々と流れる息遣いの音と共に印象的だった。ただ、写真のほうで口の周りに藻(アーサだと思う)がへばりついているところは気持ち悪くて、なければもっと良かった。(タイトルが「アーサ女」だし、それが重要なのかもしれないけど)

安谷屋正義の作品以外はどれも最近のもので、普段コンテンポラリーアートとかは、良くわからないのが多いのだけど、沖縄に関連したものでは、コンテンポラリーといえるくらい最近のものが感覚があう感じがした。

企画展を見終えると、アンケートをお願いしますということで、展覧会の内容や美術館の開館時間や料金などに答える比較的簡単なもの。
特に断る理由もないので、回答したら、粗品がもらえて、近代美術館の特製?鉛筆3本だった。
鉛筆を使うことなんて、最近めったにないけど、良かった。

0 件のコメント: