2008年12月23日火曜日

ネオ・トロピカリア ブラジルの創造力 を観てきた

東京都現代美術館で、1/12まで行われている展覧会、「ネオ・トロピカリア:ブラジルの創造力」を観てきた。

BRICSなど経済面での発展で近年注目されていて、ブラジル移民100年ということもあって、書籍、雑誌、テレビ番組などで、移民の苦労や、その後のことなどの情報を耳にする機会が最近多かったように思う。この展覧会も、移民100周年、日本ブラジル交流年を記念して開催されているよう。

カーニバルやサンバとかサッカー、熱帯雨林、などといった、他の要素から、明るくて陽気なイメージはあるものの、ブラジルのアートは、まったくといってよいほどイメージがなく、展覧会の概要などをチラシやWebで見て、明るい感じのブラジルアートをみてみようかと思って、観に行ってきた。

ブラジルでは60年代から、独自の文化創造を目指し「熱帯に住む者の文化のオリジナリティ」をうたった、トロピカリアという芸術運動が興り、トロピカルな色彩や生きることはアートそのものといった考えが反映したような、陽気な感じの作品が見られた。

ただ、そのような背景に加えて、最近のアーティストが多いこともあって、体験そのものがアートというような作品が多く、参加して楽しめる人はいいけど、遠慮がちというか離れて見てしまうし、なにかのイベントやパフォーマンスとなにが違うんだろうとか思ってしまい、あまり興味が持てないものも多かった。

個人的な好みが平面作品なので、あまり、インスタレーションとかビデオ作品には興味を持たないのだけど、今回は、あまりにいろいろな作品を見たこともあって、アトリウムに設置されたインスタレーションやビデオ作品が印象的だった。

アトリウムのインスタレーションは、エルネスト・ネロの作品で、天井からぶら下げた薄いストッキングみたいな布の中に、ソバがらやスチロールの粒のようなものを入れて、途中の重みで垂れ下がったようなものが多数ある作品で、大掛かりだけど有機的な柔らかなものが空間を侵食しているような感じで、不思議な空間を作っていた。
まあ、イベントなどで一時的に作られる変わった空間デザインとなにが違うっていう話もあるけど、2Fや3Fから見下ろしたり、B1Fから見上げたりすることが出来て、その雰囲気から伝わってくるイメージなどがなかなか印象的だった。

ビデオ作品ではアナ・マリア・タヴァレスという作家の作品で、細い柱の周りをスチールの穴あき板が多数、工事現場の足場のような感じで宙に浮いているような映像が続くもので、部屋に入ると両サイドの大きなスクリーンがあって、その両者に遠くまで続くような映像が流れていて、水中にいるような、宙にうかんだような感覚がする作品。
ビデオ作品は大抵、映像の示す内容や時間的変化とか物語性があって、全体を見なくてはいけない感じのものが多いので、平面作品が好きな私としては、あまり好きになれないのだけど、純粋に映像が綺麗だと思えるものや、視覚から伝わる感覚に訴えかけるようなものは、わりと楽しいかもしれないと思った。

他には、日系1世のトミエ・オオタケの青い火の玉みたいなものなど、抽象的な絵はなかなかいいと思った。個人的には好きなものではないけど、オスジェメオスの作品がなんとも不気味な感じもするのだけど、印象に残った。

0 件のコメント: