2008年12月27日土曜日

蜷川実花展を観てきた

先日、森山大道とミゲル・リオ=ブランコの写真展をみて、大判の写真の迫力や、鮮やかな色彩の写真もいいと思って、行かずに終わってしまいそうだった蜷川実花展を、昨日(12/26)観に行ってきた。(東京オペラシティーアートギャラリーで12/28まで、その後、岩手、鹿児島、西宮、高知を巡回)

最近、名前を聞くというか、さくらんで監督デビューしてたし、春先のアートフェアでも人気があったようだし、確か蜷川幸雄の娘だったような気もするし、なんか流行りに乗っかる感じだけど、まあ、写真そのものは、見た目が鮮やかな色彩にあふれてて綺麗だったの良かった。


展示は、エントランス、花、初期、金魚、
人、旅、造花、新作、ポートレートの9つのコーナーに分かれていた。
エントランスから受付を過ぎると花の部屋で、代表的な作風ともいえる、花の写真が飾られていた。大きく引き伸ばされた花は、一部の拡大だったりもするけど、花弁や空が作る、赤、黄、緑、青を基調として微妙に変化した色合いで、どれも、綺麗だった。
次の部屋はモノクロのセルフポートレートなど、比較的初期(といっても95年以降だからまだまだ新しいかも)のもので、この中に初めて蜷川実花という人を知った写真集Pink rose suite(写真集の名前は忘れていたけど、写真のほうで見覚えがあった)からの写真などがあり、
金魚の部屋では、照明を落とした部屋にひとつの壁面には金魚の映像が流れ、残る部分も金魚などを写したものが展示されていた。
旅の部屋では、いろいろな場所で取った風景や子供などが展示されていた。フィルムくらいの小さいサイズの写真がたくさんテーブルの上においてあったりもした。
人のコーナーでは、壁面にキャノンのプリンターで打ち出した写真が貼られていたり、いろいろな写真集などの写真が飾られていて、こちらも、鮮やかなものが多く綺麗。
造花のコーナーは照明を落とした暗い部屋で、壁面に大きめのスライド(ガラスに印刷?)をバックライトで照らした展示で、暗闇の中で、墓標に供えられた決して枯れない花という、鮮やかな色彩と死の対比を強調しているような感じ。
新作のコーナーは、いろいろな大きさで、いろいろな主題の写真が壁面に多数展示されていて、少し雑多な印象。
最後に通路沿いに、多数(200名を超えるそう)のモデルや役者、アーティストなどの写真が通路の片側を埋め尽くすように張られていた。

写真というには、大判のポスター状のものや、壁面にもプリンターで打ち出したものが貼られていたり、裏から光を当てたスライド状のものやビデオ作品が流れて いたり、多数の小さな作品がおかれたもの、暗い部屋で光らせた展示など、通常(通常が良くわからないの私の持つ写真展のイメージ)とは異なった演出のされ た展覧会だった。

大きく引き伸ばしているために、鮮明さにかけるものもあったけど、全体的に、色彩が鮮やかで、人物も飾りつけというか演出された感じのものが多く、綺麗なものが多かった。

ただ、ゆっくりと鑑賞したくなるような作品はあまりないような気がした。

色は鮮やかだし、綺麗なので、ビビッドな内装のダイニングバーみたいなところの壁を飾るにはいい感じ(ビビッドな空間は、なんか疲れるからくつろげるような雰囲気ではないけど)。

ぱっと目を引くものは多いのだけど、じっくり見たくなるようなものは少ないのが残念だった。
じっくり観たくなるかとうい点では、花や金魚は目を引くしその色彩の迫力に圧倒されるものの、じっくり見たいという感じではなくて、旅先での人や風景が個人的にはいいと思った。

全体として、写真そのものから、何か訴えかけられるというか、何か印象深く惹きつけられるものは少なくて、時代を超えて残るようなものなのかはよくわからないというか、将来的にはどうなのかいう感じもした。
ファッション誌などで良く取り上げられたりするからというわけではないと思うけど、見た目の奇抜さ(奇抜というには、綺麗なので綺麗さ?)とかでなにかに惹きつけられるのと同じ感じを受け、見映えはいいし、目にした時に飛び込む印象は強いと思うので、さらに引き込まれるような味わい深さというか、奥深さが感じられると、いいのにと思った。
多少、黒いものをいれたりとか
とげのようななにかをかくし持っているようなものも感じられるけど、少しわざとらしかったり、なにか不自然さも同時に感じるので、それがなければ、味わいぶかくなるのかもしれないけど。

そんな感じで、けちつけながらも、それなりに綺麗な写真がみれてよかった。



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