2008年10月8日水曜日

カイマナヒラの家 を読んだ

池澤夏樹、写真・芝田満之カイマナヒラの家―Hawaiian Sketches(2001.3発行)を読んだ。

波乗りのためにハワイイに何度も行っていた主人公が、ハワイイで知り合ったサーファーが管理人を兼ねてすんでいる伝統ある家に泊まることになり過ごした日々のことが、同居するサーファーやその知り合いとの会話を中心に書かれている。

人が砂漠で消えてしまったり、先祖の霊がたたってリゾートホテルの工事がうまくいかない話など、ちょっと不思議な話も交えながらも、カイマナヒラの家で知りあった人たちが、その家にいることになった経緯や、知り合い通しの関係などといった、比較的ありふれた会話が自然な感じに交わされていて、軽やかな感じがした。
ところどころに挟まれた、真昼の青い海や、夕暮れの朱色の海、波に乗ってるサーファーや、ボードを持っているサーファーがシルエットに浮かんでいる様子などの写真とあいまって、海にむかって淡々と波乗りを繰り返すサーファーのような生き方へのあこがれのような、懐かしさのような感じを受けた。
特に、主人公たちの年齢が決して若くない年齢で、結婚で縛られた状況になりたくなくて、独身生活からぬけきれないでいる状況から、終わりの方では結婚して子供のいる環境になり、カイナマヒラの家も買い手がついてしまうところも、まだ、結婚して所帯じみて、日々の生活に追われたくないといった、青春というには年をとってしまいながらも、気持ち的には自由に生きたいと思う頃への哀愁のようなものを感じた。

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