2008年10月30日木曜日

大琳派展を観に行ってきた

東京国立博物館で、11/16まで開かれている、尾形光琳生誕350周年記念 特別展「大淋派ー継承と変奏ー」を観に行ってきた。

9時半の開館時間に合わせて観に行ったのだけど、既に開館前から並んでいる人が結構いて、最初の部屋はかなりの人だったので、順番を無視して、先の方からみて、見終わってから戻ったらさらに人が増えていて、平日でもこんなに混むのかと驚いた。

展示内容は、琳派の代表といえる、本阿弥光悦、俵屋宗達、尾形光琳、尾形乾山、酒井抱一、鈴木其一、を中心に、楽茶碗や蒔絵すずり箱などの工芸品から、障塀画、絵巻、書などが展示され、国宝や重要文化財もちらほら見られたり、外国の美術館が持っているものなど、おそらくかなり優れた作品といえるものが展示されていて、興味のある人には、非常に良い展示なのではないかと思う。
また、琳派は直接の師弟関係はなく、先行する作家を見本に継承していったそうで、同じ画題のものなども多く、今回の展示では、比較対照を行い、琳派の作家同士の関係などを見て行こうとする展示構成となっていた。

しかし、個人的には、やまと絵などの日本古来の絵については興味が薄く詳しくないので、同じ画題のものを比較してあるものは、直接的な違いはわかるものの、それぞれの作者の特徴とか、表現の違いなどはあまり良くわからなかった。
結局、有名な作品である、風神雷神図屏風や養源院の白象図杉戸絵、蒔絵硯箱、夏秋草図屏風などは印象に残ったものの、他は解説を読んだりしたものの、全体としては、印象に残る作品の少ない展覧会だった。

それでも、鶴下絵和歌巻や、酒井抱一の夏秋草図屏風など、先日、美術検定を受ける際に、知識を得たばかりの淋派の絵の本物を見ることができた点や、たらしこみの技法による木の枝の様子など、いままでは意識しなかった技法の効果を感じることが出来てよかった。俵屋宗達に始まり、尾形光琳、酒井抱一、鈴木其一の4人が描いた4つの風神雷神図屏風や、風神雷神図屏風の裏に、それを意識した図が描かれていたり、敬意など関係を示すものも多いことなどを知れてよかった。

また、西洋の絵画は印象派以前は、比較的見たままを自然に書く絵が多いのに対し、やまと絵?はひとつの画面構成のなかで、視点の位置がさまざまで、木との関係などからほぼ同じ位置にいるように見える鳥があるものは胸の方が見えていて、あるものは背中側の羽模様がみえているものや、他にも、視点の位置から考えるとありえそうにない配置や、花や葉がすべてこちらを向いているなど、自然に書くというより装飾的というか、見るものが強調できるというか、見たままではないイメージを描いている用に感じた。

しかし、金泥を多く使う色彩感覚が描かれる一方、水墨画のような白黒の画面構成があったり、日本古来の絵というのも、よく考えると奥が深いと思った。西洋美術史を基準に考えると、異端な感じになるが、本来どちらが正しいというものでもないので、西洋とは異なる美的感覚、虫や花や鳥は非常に細密に描かれていたりする一方で、他の部分は省略されて図案化されたような背景であったりする作風など、あまり興味を持たなかった日本画も美術検定の勉強などで得た知識や最近の展覧会で得た知識から、新たな見方が出来るようになって、興味深く感じる点もあったので良かった。

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