2008年10月17日金曜日

ピカソ展(新美術館のほう)を見てきた。

国立新美術館で、12/14まで行われている、「巨匠ピカソ 愛と創造の軌跡」を見てきた。

近くのミッドタウンにあるサントリー美術館では「巨匠ピカソ 魂のポートレート」と題して、肖像画を中心に展示され、こちらでは、ピカソの作品の変遷が見られるように、様々な作品展示となっている。

ピカソ展というだけあって、作品保護のために、どの作品も近寄り過ぎないようにパイプが設置してあったり、警備も普段より厳しく、入り口ではかばんの中を確認していた。

展示内容は、青の時代の作品(1点のみだが)から、薄茶色っぽい乾いた感じの人物像や、形状を単純化し輪郭を強調した人物像などキュビズムにいたる初期の作品、まさにキュビズムといった頃の絵画や彫刻、鼻立ちがすっとしていてギリシャ風の顔と手足などむくむくした肉体が強調された感じの人物像、正面と側面などが錯綜する人物像や、さらには、目、口、耳などの配置までずらした人物像、シュールレアリズムの作品やヘンリームーアの彫刻のような体が伸びたり膨らんだ人物像など、ピカソの作品として、イメージされる様々なタイプの代表的ともいえる絵画や彫刻が集まっていた。
また、ゲルニカの製作過程が9枚の写真で展示されていて、描かれた順序や下書きと変わっている部分などがわかって興味深かった。

青の時代の作品は、今までもいくつかみた記憶はあるし、フランスやスペインのピカソ美術館でいろいろみた記憶はあるものの、あまり良く覚えていないというか印象に残っているものはなかったのだけど、今回展示された作品は静かでいて、なにかを訴えかけるような不思議な感じがして印象ぶかかった。
また、キュビズム作品好きの私としては、マンドリンを弾く男やサクレ=クレール寺院などは、みることが出来てよかったと思った。
他にも、1930年代頃のシュールレアリズム風の作品はなんとなく楽しい感じがして良かったし、後半のジャクリーヌの肖像画はなんか惹かれる作品だった。

とはいうものの、ピカソの絵は子供のいたずら書きみたいで、芸術的なのを冗句にするような絵として似た感じのものが使われたりするけど、実際そんな感じも受ける。
ものの本質を平面に表すために、単に見えるものだけでなく、様々な方向から見たもの組み合わせて表現させたところがすばらしいとかっていわれたりするわけで、そういう見方も確かにあると思う。
実際、物事の認識っていうのは脳内に得られた様々な経験や情報から構成されるわけだから、それを絵画に表現して、改めて認識させたとかって価値があるのかもしれない。
でも、やっぱり、そんなにすごいの?って感じはしてしまう。
ピカソの絵はいろいろなところや、画集などで多く目にしていることから、一部の作品はみることができて良かったと思うけど、多くの作品はあまり興味を惹かなかったというか、気に入った作品は展示の数の割りに少なかった。

最も、ピカソ展はいかがでしたかとかって、公式に聞かれたら(そんなことはないけど)、様々な種類の代表的な作品が展示されていて、ピカソの画風の変遷を俯瞰できるよい展示だったとかって答えてしまうのだろうけど、、、

最も私の好きなキュビズムにしたって、なにが書いてあるかわからないのにどこがいいのとか、抽象表現主義の作品にしたって、ただ一面にぼんやりした色があるだけで、どこがいいのとかいわれれば、物を分解して再構成していることや、ぼんやりした色に包まれることで感じる感覚や微妙な変化に精神性を感じるとか、評論家の言葉を借りることはできるものの、ようは、なんとなく好きっていうのにすぎないともいえるようにも思うが、、、、

そんなことを考えてしまう展覧会だった。(といいながら、サントリー美術館にも観に行ってしまうんだろうけど、、、)

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