2008年11月15日土曜日

アンドリュー・ワイエス展を観てきた

先日、Bunkamura ザ・ミュージアムで、11/8から12/23まで開かれている、展覧会「アンドリュー・ワイエス 創造への道程」を観てきた。

初期の自画像や、クリスティーナの世界といった代表作の習作(クリスティーナの世界の完成品は写真が小さめのパネルで展示されているのみ)が展示されていて、完成するまでに描かれた部分習作や、構図の変遷などがみられるような展示構成となっていた。
ひとつの完成作品に対し、素描や水彩で描かれた部分習作や、構図が異なるものや、完成品と同等の構成の習作などが展示してあって、副題にあるように、創造にいたるプロセスがわかるような展示となっていて、そういう点では貴重な展覧会だと思った。

ただ、展示されている総点数は150点ほどで、それなりの規模の展示なのだけど、前述のように習作が多く、ワイエスらしさが感じられる完成品としては10点ほどなため、ネットやチラシで展覧会の内容をよく読まないで、アンドリュー・ワイエス展が始まったということで、ワイエスらしい、精緻で、どこか寂寥感を感じるような風景画などをたくさん観られるかと思っていったので、少し期待はずれに感じてしまった。

とはいうものの、チラシに載っている「火打ち石」をはじめ、「雪まじりの風」、「粉引き小屋」などは、その精緻で写実的な描写でいながら、その場のどこか寂れたような、雰囲気というか空気感が感じられる、素敵な絵がみられ嬉しかった。
それに、習作は絵として完成はされていないものの、部分としては十分すばらしい出来であったり、水彩で流れるような表現なのだけど、より本物らしい印象で描かれているものや、同じものを少し感じを変えて書き直しているようすや、完成作にいたるまでに、人が削除されたり、中心となるものが変わったようなものなどもあり、興味深かった。

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