2008年11月17日月曜日

その絵、いくら? を読んだ

小山登美夫著、その絵、いくら? 現代アートの相場がわかる (セオリーBOOKS)(2008.8発行)を読んだ。

著者の小山氏は、村上隆や奈良美智を扱って広めたギャラリストとしても有名な人。
はじめに、で、運慶の大日如来像が約13億で落札された話と、村上隆のマイ・ロンサム・カウボーイが約16億で落札された話から始まり、アートについて価格という点から、絵の流通方法や、市場の形成、価格の形成などについてや、価値あるアートの成り立ち、日本の状況、コレクターの存在や投機や投資という側面、アートブームのことなどについて説明?されている。

多少、まとまりに欠ける感じもするけど、シンワアートオークション社長との対談や、日本の代表的な現代アート作家を扱っている、小柳ギャラリー、オオタファインアーツの小柳氏、大田氏との対談などを交え、アートの価格形成や市場形成について、日本の状況などが語られていて、読みがいはあった。

結局、アートの価値って、アートを飾ったり、所有する文化的な背景にもよるし、アートをどのように捉えるかや、そもそも、アートの価値は見る人の好き嫌いだけでなく、アートそのものに対する社会的な位置づけや、取り巻く背景などに左右されることを改めて感じ、真の価値ってあるのか?わかるのか?って思った。

また、アートを買うことが、見栄だったりする側面や、そういう見栄の張り方が、欧米には文化としてあるようなところから、価格が決まり、村上隆の作品が16億とかになるという見方もわかるし、美術史のなかでの新たな価値創造という点で高い値段となるという見方もわかる。その一方で、まだ、比較的手ごろな価格があるのもわかる。
そうはいっても、年収が4~6百万くらいの普通のサラリーマンにとっては、コレクションしていくには絵はやはり高い。
かといって、それなりの値段がしないとアーティストも生活できないのもわかるから、価格って難しい問題だと思った。

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