2009年2月20日金曜日

ダイナミックな脳 を読んだ。

津田一郎著、ダイナミックな脳―カオス的解釈 (双書科学/技術のゆくえ)(2002.3発行)を読んだ。
脳関係で、脳は非常に可塑性が高く、近年、ニューロンの相互作用も含めたダイナミックなシステムとしてとらえるのが重要なようなので、タイトルがダイナミックな脳とあり、カオス的解釈とあり、カオス理論を脳へ応用し、脳のカオス的解釈学を提唱した博士と、その反論をデーモン2人が行う対話形式で行っているので、一般向けに、著者の提唱する脳のダイナミックな側面を捉える理論の概要や現状の課題を知ることができるのではないかと思ってよんでみることにした。

内容は、複雑系である脳のダイナミックな側面に関する私なりの考察を対話形式で述べたもの(あとがきにかえて、より)で、対話形式をとることで問題点を浮き彫りにし、著者の提唱する理論を問題点を含め紹介するもののよう。

式を使わない、一般向けの本としてかかれたようだけど、著者の提唱する理論がカオス的遍歴を含み、カントール・コーディングで脳の理解をしようというもののようだが、内容がどんなものなのかイメージすることもできなかった。

著者は、複雑系の数理理論を脳に当てはめることで、脳の解釈学的理論を提唱しているようなのだけど、非線形力学やカオス、ニューラルネットなどを工学面から、ざっと齧ったことはあり、ある程度の議論にはついていけると思っていたが、それでも、いろいろな専門用語が説明なく用いられ、他の人の研究を参照したり、問題点や自分の主張との対比をするときも、その研究内容がわからないし、説明もわからないといったところ多く、ほとんどの読者はついていけないと思った。(どういう読者を想定しているのかわからないし、自分が理解できないからといって他の人が理解できないということはもちろんないが)
かなり著者の理論や周辺分野を理解していれば、なにを言っているのかわかるかもしれないが、これなら、論文やより専門的なものを調べながら読んだほうがわかりやすいのではないかと思った。

結局、最初の方の、脳を理解するための適切な言語をみつけることが必要なことや、脳は解釈学的に議論することも必要という部分が少しわかったような気がするが、他の部分はほとんど良くわからず、字面だけを追っている感じだった。

哲学の本とかで、なにをいっているのかわからない本はときどきあるけど、理系の一般向けの本で、イメージすらつかめなかった本はあまりないと思った。

ダイナミックな機構のなかで情報を保持していくといった、カオス的脳解釈というのは、興味深いのだが、イメージもつかめず残念だった。

0 件のコメント: