2008年7月27日日曜日

トレース・エレメンツ展と麻田浩展

(別サイトと同じ内容)
金曜日の夕方、新宿のオペラシティアートギャラリーで行われている展覧会を見てきた。企画展示では、トレース・エレメンツ-日豪の写真メディアにおける精神と記憶、というタイトルで日豪10名のアーティストの作品が展示され、特別展示では麻田浩展が行われていた。

企画展示のほうは、写真メディアといっても、通常のなにかのシーンや風景を切り取るものではなく、参加型のヴィデオインスタレーションまでも含んだ現代アートの展示となっていた。ヴィデオアートは、やはりなんだか良くわからなず、少しは見ていたものの、そもそも、最初から最後まで見ることを想定しているのかよくわからないけど、あまり引き込まれる映像ではなかったので、良くみていないで判断するのもどうかと思うが、あまり面白いものではなかった。
平面作品では、入ってすぐの部屋に飾られた、志賀理江子の作品は、幻想的というか、オーラを可視化したというようなオーロラのような感じの光が表れていたり、体からスパークしたような光が出たり、その光でゆがんだような感じになっていたりで、現実にはない少し不気味な作品ではあるものの、今回の展示のなかでは、比較的、私の持っている写真作品のイメージの範疇に近く、興味深くみれた。他にソフィー・カーンの作品は、小さな三角形が寄せ集まったメッシュで人の体のようなものを表現しているように見えたが、解説をみると、デジタルスキャナーによって身体を要素に分解して彫刻や彫刻的なポートレートとして再構成したそうで、平面作品はグラフィック的な美しさを感じるものの、彫刻はあまり興味を惹くものではなかった。また、田口和奈の作品は、Webのアーティスト紹介の所にある作品は見当たらなかったが、モノクロームというより銀灰色の中に薄ぼんやりと人物像が浮かんでくるような感じの作品で、Webやチラシにある写真では割とはっきりとした白黒人物の絵の写真となっていたが、濃い銀色のなかでの少しの濃淡さで表現されていて非常にぼんやりしていて、照明の関係もあるかもしれないが、少し見にくいものの、その表情の表現などを良く見てみたくなるような作品だった。

特別展示のほうでは、麻田浩という作家を私は知らなかったが、薄く塗られたような乾いた感じの背景に、やけにリアルな水玉や羽や石やら良くわからないものが配置されていて、シュールレアリズムの作品のような幻想的な感じのする作品が多かった。全般的には青から緑で灰色がかった色調のものが多く、静かな廃墟に光が当たったような感じを受けた。書籍の装丁というかカバーも手がけていたようで、それらや、手帳や手記なども展示されていた。

今回は、企画展よりも特別展のほうが興味深く、こちらがなければ、入場料が高かったように思うが、麻田浩の作品は惹かれるものが多く、結果としては良い展覧会だったと思う。

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