2008年7月11日金曜日

コローの展覧会

(別サイトと同じ内容)
国立西洋美術館の企画展示、コロー光と追憶の変奏曲を見てきた。
コローというと、濃い目の緑の淡いようなこまかいような木々が画面の半分からそれ以上を覆い、それでいて、柔らかな光に包まれた感じの森の風景画のイメージが浮かび、主としてそのような風景画の作家というイメージを持っていた。
今回の展示を見て、建物を正面あるいは真横から捉えて面的に描かれたものや、少しくすんだようなかすれたような色あいのセザンヌの絵のような作品や、強い遠近法で描かれた作品など、これまでに知らなかったコローの作品を見ることができた。特に、代表的な作品でもある肖像画は頼まれて書いたのではないものばかりだそうで、淡いような静かな感じの絵からは、やわらかいまなざしというか、穏やかな感じを受ける肖像画が多く、見ているとこちらまで気持ちが和らぐような良い感じの作品あることを知れてよかった。
また、コローは18世紀末に生まれて19世紀の3/4を生きた画家で、時期的には印象派以前の作家で、コローがモネやセザンヌなど印象派以降の作家に影響を与えていることや、風景に神話などからとったモチーフを加えたり、バランスを考えて人を配置するなど、単に風景を模写するのではなく、バランスのよい構図や見るものの視線の動きを考えて描かれたものであることを知って、コローは絵が単なる模写や目に見えたものを忠実に再現するのではなく、その場所で受けたイメージなどをあらわすために、絵画のあらたな方向性を目指した点でも優れた画家だったのだと思った。
展示内容も、セザンヌ、ピカソ(1点だけだったと思うが)やドラン(こちらは数点)など影響を与えたといわれる画家の作品や、コローが師事した画家の作品なども展示されていて、お互いの影響についても考えながらみることのできる展示だった。

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