2008年9月2日火曜日

現代アートナナメ読み

暮沢剛巳著「現代アートナナメ読み 今日から使える入門書」(2008.7発行)を読んだ。

あとがきに、
現代アートの平易な入門書として企画されたものである。第1部「ゲンダイアートナナメヨミ」では、15の関連キーワードを通じて現代アートの様々な側面にスポットを当て、第2部「アートの見方ナナメヨミ」では、多くの読者になじみの薄い美術評論家諸氏の解説やマッピングを、第3部「アートを観に行くナナメヨミ」では、美術館やパブリック・アートを紹介すると同時に、アートフェアやアートNPOの簡単なガイドを試みるなど、「ナナメヨミ」というキーワードを軸に据えた多角的な内容となっている。(以上、あとがき より)
とあり、現代アートの入門書とのことなので、現代アートはどうもよくわからないけど、なんとなく興味もあるので、読んでみた。

タイトルなど中身を読む前には、入門書ということで、代表的な作品を例に、批評家の意見や見方を例示したり、それらが発表されたときの状況や価値感の移り変わりなどを説明するようなものかと思った。

中身は、著者が書いたあとがきにある通りなんだけど、読んだ感じでは、第1部では盗作や国策、市場、観光、スポーツ、犯罪、医療、経営、をキーワードとして、関連した話題についての質問というか疑問に対し答える形式で、現代アートがいろいろな形で社会に関わっていることについて、事例などを挙げた説明がされ、第2部は現在の現代アートにいたるアートの評論状況や批評家ごとの事例などの説明となっていて、第3部は、美術館やカフェ、アートNPOの紹介やアートの買い方など、アートを楽しんだり参加するための案内書のようになっている。

第3部は入門書としての役割を十分果たしていると思うものの、第1部はアートプロジェクトや作品がアートと社会の関わりを説明するための事例としてはでてくるものの、メインは社会との関わりの説明で、アートの入門書というより、文化人類学や社会学のアートに関するエッセイのような感じだと思った。
また、第2部は対談は、評論の現状ということで、知らない評論家や作品作家などが出てきてよくわからないところも多いものの、評論家と現代アートの状況、アート教育の現場の状況などを知ることができ興味深かったものの、評論家諸氏の解説は、美術評論そのものをそれほど読んだことがなかったため、用語や内容が難しく、ほとんど良くわからず、字面を追うだけというか、それこそ、ナナメヨミに終始した感じだった。

いわゆる入門書の持つイメージと異なるアートの入門書だったけど、現代アートという評価の定まっていないものを見るための関連知識の提示をしているという点では、読む価値はあったと思う。

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