2008年9月6日土曜日

行動ファイナンス入門 を読んだ

久しぶりに経済学というか、ファイナンス理論関係の本といっても入門書、
岡田克彦著「図解でわかる行動ファイナンス入門」(2007.7発行)を読んだ。

内容は、市場の動きやお金の流れなどの経済について、理想的に仮定した経済人による行動としてとらえた伝統的ファイナンス理論では説明仕切れないアノマリーも含め、非合理的な人間心理による行動を考慮してとらえることで、現実の経済現象をより正しく捉える(ということだと思う)行動ファイナンス理論の入門書。
最初の章は、伝統的な従来のファイナンス理論の紹介として、リスクとリターンや標準偏差などの基礎的概念の説明や、株式価値の決定方法、リスクプレミアムやモダンポートフォリオ理論について、平易に解説されていて、続く章では、それらの理論にあわない例(アノマリー)とそれを説明するための理論の修正などについて説明され、最後の章で、従来の理論の前提となる、参加者が経済合理性に基づき行動する効率的市場ととらえるのではなく、ときには非合理的に判断する人間心理を考慮した行動ファイナンスの紹介となっている。

行動ファイナンスについて知っている人にとっては、人間心理による判定の違いの例について、説明が丁寧であらためて、非合理性を感じることはできるものの、目新しい点はなく、あくまで入門書として、気楽に読むのに向いた本。
式もわずかに使われているのみで、それも概念の説明が中心で、厳密に意味を理解するにはより専門的な本を読んだほうがいいと思うし、非合理的な判断の例が特に市場への投資という点では、その影響がわかりにくいものもある。しかし、伝統的なファイナンス理論との対比も含めて、行動ファイナンスとはどんなものか、人間の非合理的な行動とはどういったものかなど、基本的な概念を知るにはわかりやすくて良い本だと思った。

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