2008年9月23日火曜日

ライオネル・ファイニンガー展

横須賀美術館で8/2から10/5まで開催されている、「ライオネル・ファイニンガー -光の結晶」展を観に行ってきた。(この後、愛知と宮城の県美術館を巡回するそうです)
横須賀へ行くことが多いので、横須賀美術館のホームページの展覧会案内に載っている絵を見たり解説を読んで、今度見に行こうと思っているうちに、開催期間が終わりそうになってきたので、昨日、見に行ってきた。

ライオネル・ファイニンガーは、あまり有名はでないと思うが(私が知らなかっただけかもしれないけど)、1871年にニューヨークで生まれ、ヨーロッパで絵画を学んだ後、最初は新聞の風刺画などで生計を立て、36歳になってから油彩画を書き始めた作家だそうで、20世紀初期に活躍し、バウハウスの設立に参加して、版画印刷工房のマイスターに就任したり、カンディンスキー、クレー、ヤウレンスキーらと「青の4人」(同じく、カンディンスキーやクレーの参加した青騎士とは違って、知らないグループだったけど、青騎士より少し後なので、キュビズムの同じようなグループなのだろうか?)というグループに参加したのち、ナチズムの台頭により頽廃芸術の烙印をおされたことなどもあって、ニューヨークに戻って展覧会などを行っていたそうです。

今回の展示は、新聞に載せていた漫画から、初期の油彩画、キュビズムの影響を受けて以降や、晩年の作品、さらに、版画も多く製作していたそうで、バウハウス設立時の表紙なども含めた版画や、彫刻や木のおもちゃなども展示された、回顧展という形式。

初期の作品は、漫画や風刺画を書いていたという解説を先に読んだからか、特に初期の油彩画は、平面的で大胆な構図にデフォルメされた人物などは風刺画の表現を自由に広げたような印象だと思った。また、版画も多く、風刺画などと共通したイメージが感じられた。
パリのキュビズムの作品に触れて以降はキュビズムの影響を無視できない作品が多くなり、建物や、地面、海、空まで、直線や幾何学形状でリズミカルに区分けされた作品が多くなっている。一方、晩年の頃まで、輪郭をぼんやりさせた対照的な作品も同時期に製作しており、そのような作品も展示されていて、そちらも変わった感じで興味深かった。

個人的に、幾何学的に分割されて、再配置されたようなキュビズムの作品はなぜか惹かれるものを感じるので、知らない画家だったけど、気に入った絵もいくつかあって良かった。

キュビズムの影響を受けた作品も完全な抽象というよりは、建物や橋、海などを切子のガラス越しにみたような、クリスタライズされたとでもいうような印象で、展覧会タイトルの副題に「光の結晶」とある通り、光を感じさせる作品もあって、いくつかの作品は、私のつぼにはまる感じだった。

ただ、ホームページに載っていた作品は、そのようなキュビズムの絵といえる作品だったので、見てみたいと思って観に行ったのだが、作品数の割りには気に入った作品は少なかった。
しかし、静かでいながら光があふれるようなキュビズム作品やクレーの作品のような感じのものなど、かなり気に入った作品がいくつかあったので、楽しめた展覧会だった。

青の4人の本:

0 件のコメント: