すでに文庫化している、吉田修一の第127回(2002年上半期)芥川賞受賞作、パーク・ライフを読んだ。
営業の途中、日比谷公園の噴水広場のベンチで遅いランチを取るのを日課としている主人公、同じく晴れた日は大抵公園でランチを取る女、地下鉄での偶然の会話をきっかけに知り合って、公園で交わす、意味が深いような、話が途切れて飛ぶような会話や、ベンチに座ってみているうちに現れるイリュージョンのような光景などを中心に話が進み、人間の中身と外、自分の家と住む場所のずれ、公園に来る人の入れ替わりといった、箱の内と外のようなずれが、人間関係のずれや会話のずれも含めて重層的に重なりあうことを意図しているようにも思えるけど、淡々と進んでしまう感じ。
学生の頃(もう20年以上前)に、一時期芥川賞作品をまとめて読んだことがあったけど、そのときは、社会や人生などの問題を抉り出すように書いたものや、卓越したこれまで読んだことがないような表現による描写など、読み応えというか読みにくい作品が多かったけど、昨日読んだ伊藤たかみの「8月の路上に捨てる」と同じく、読みやすいというか、あまり考えずに読めて、あっさりした感じがの本で、深みがない感じもするし、最後もどういうこと?って、取り残される感じもするけど、微妙にすがすがしい。
パーク・ライフ吉田 修一文藝春秋このアイテムの詳細を見る |
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