2008年8月21日木曜日

フェルメール展を見てきた。

都美術館で開催されている、「フェルメール展 光の天才画家とデルフトの巨匠たち」を見てきた。
フェルメールは、光の天才画家とあるように、光が窓から差し込むような絵が多く、光の扱いがたくみで、評価の高い17世紀のオランダの画家。今回の展示は、数少ないフェルメールの作品のから、7点も展示され、他に同じ頃活躍して互いに影響を与え合ったと思われ、デルフトにゆかりあるというか、デルフトスタイルといわれる画風の巨匠たちの作品を展示した展覧会。

なにしろ、フェルメールはフェルメール作とされているものが30数点ほどしかなく、贋作とされるものも時々ニュースになるし、昨年はわずか1点だけで、企画展のタイトルが「フェルメール『牛乳を注ぐ女』とオランダ風俗画展」となってしまう展覧会を国立新美術館が開いてしまうぐらい(まるで、”モナリザ展”のような1品を見るために大勢集めてしまうような展覧会)だから、今回7点も展示されるのは、確かにめったにない機会だとは思う。
なので、私も美術検定を受けようと思い始めたところでもあるから、あまり、好きな分野というわけではない(決してきらいというわけではないけど、違いがよくわからないのであまりみていて楽しくない感じ)が、見に行ってきた。

フェルメールの絵については、印刷物やポストカードで見ると明暗や色彩が少し濃い目になっているが、実物は、比較的、色が薄いというか淡くて柔らかな風合いを感じさせ、確かにいい絵だと思った。
解説などで言われるように、窓から差し込む光が建物の中の人や物、床に作る明かりや陰がとても自然で、全体にわたって丁寧に描かれているし、日常のある風景のような場面ではあるものの、そこには物語性を暗示するようなものが描かれていたり、いわゆる絵を読み解くという時の要素が配置されているし、少し離れてみたときの全体のバランスもいいというか、不自然なところがなく、色合いも多少淡いけど、それも建物内の空気感を感じさせ、色がきつかったりしないので、目にした時にいい感じだと思う。
ただ、このように日常を自然にうまく描く画家というのはフェルメールだけに限らないように思う。そうは言うものの、他の作家があまり思いつかないのでやはりすばらしいのかもしれないけど、私があまり知らないだけで、同じようなうまい絵はあるのではないかと思う。

絵を書く人は日常的に常に絵を描いていて、そのなかから、独自のスタイルがあったり、いくつか出来のいい作品が認められて世にでていくのだと思うから、30数点しか残っていない評価の高い画家というのは良くわからないというか、それほど、フェルメールの絵が他と違って見るものの心を打つというか、評価が高いのが良くわからない。少ないからこそ有名なような気がしてしまう。最近フェルメールのだと認められたようなものもあることから、もともとは多数の絵があったのに、なくなってしまったのかもしれないから、今ある絵だけで、評価が決まったわけではないのかもしれないけど、、、、

フェルメール以外のデルフト・スタイルの画家ということで、私は知らない名前ばかりだったけど、デ・ウィットの「ヴァージナルを弾く女」は、以前英語の勉強をしようと思って買った、英語のテキスト、The Universe of English のなかで、絵の鑑賞方法だったかそういったテーマの文章で出てきた絵で、この手の絵はそういう風に物語を考えながら見るのかとか思った覚えがあって、本物をここで見にするとは思わなかった。(勘違いしているかもしれないけど、多分この絵だったと思う)

デルフト・スタイルは、それまで、貴族の壁を飾るための、宗教画などから、建物や日常の家庭などを主題として、透視法や空気遠近法を駆使した遠近感のある絵を描いていることが特徴らしく、今回、ほぼ同じところを別の時期に書いた作品を並べて展示していたり、同じ建物の中を描いた違う作家の作品や、さらには、最近撮影した写真などとの比較もあって、見たままに描いたものや、絵としてのバランスを考え柱の配置や感覚を変えて描いたものなどが並んでいて、少し興味深かった。



まあ、フェルメールは作品数が少ないのに関連する本は多くて、解説や評論家の話とかを読むと、光の取り扱いがたくみで、見るものに静かな感動を与えるとか、謎解きがどうこうとか、光の当たった衣の襞の様子かどうこうとか、たくさん解説されている評価の高い画家なので、見る価値はあるかなって感じ。

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