2008年8月26日火曜日

ゲーム脳の恐怖

だいぶ前に騒がれた、ゲームをしすぎるとキレやすくなるとか、記憶力や脳の機能が悪くなるとかの議論を巻き起こした本。

脳関係の知見に加えて、それらしいデータと理屈付けがされているので、ゲームをすると人格形成に大変な問題が生じるのが明確な事実のように思える。
しかし、内容にはかなり疑問があり、サンプルとしての学生の数など不明で結果を議論するような試験となっているかわからないし、試験方法の正しさがそもそも明確になっていない。さらに、ゲーム脳の根拠として、ゲームをすると脳が活動的なときに出るベータ波が減って、アルファ波とベータ波の比率が痴呆の人と同じになり、小さい頃からゲームを多くやっていた人は普段もベータ波が少ないから、前頭前野をあまり使わないゲーム脳となり痴呆のように記憶力や感情が減るというのは、一見それらしいけど、根拠が不十分で議論がおかしい。以前は集中したときやリラックスしたときにアルファ波が強く出るとかでアルファ波がでる音楽とか集中法なんかがあったと思うけど、この本に従うと、物事に集中したりリラックスすると痴呆にちかづき記憶力や理性的な判断力も落ちてしまうことになってしまう。
この本の根幹ともいえる脳活動の測定と判定方法が疑問な上、著者も特に脳波の専門家でも医学部の教授でもないようで、ゲームをやったからといってゲーム脳などと分類されるような前頭前野の活動低下とそれが人格や記憶力に大きな影響を与えるという根拠は不明確なよう。

ただ、なんとなく、ゲームばかりやっていると、脳の発育に良くないような気がするし、子供の頃には5感をフルにつかって活動的に育つほうが良いような気はするので、ゲーム脳のようなことが起きる可能性があるかもしれないっていう感じがするあたりに、こういう本が話題になるのはわかるような気がした。

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